農園開設奮闘記「草部貸農園」編 


(vol. 10 / 10)

やっとここまで…草部貸農園オープン前日

 

草部貸農園オープン前日の平成21年10月下旬。

前コラムの写真撮影日からいきなり8カ月も飛んでしまいました。

この間、雑草の根切り・共用施設の設置・耕耘作業などに追われ、

写真を撮っている精神的余裕などありませんでした。

(あまりのストレスと不安から、心療内科にもお世話になっている状態でした)

 

 

いかがです?きれいになったでしょ!

あれだけ雑草で覆われていたのがご覧のとおり。

かつて四本も生えていた木もなくなり、向こう側まで見渡せるようになりました。

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地域の景観にもマッチしているように思えます。

“ここまで苦労してきた甲斐があったよな”

オープン前日の早朝、

一人農園前にたたずみ、感慨ひとしおの一時を過ごしました。

 

“しかし、この農園を利用してくださる方はいるんだろうか?”

感慨に浸る反面、このころの最大の心配事の一つでした。

“自宅でじっとされている方、この農園で気持ちのいい時間を過ごして!”

そんな祈るような気持ちで…。

ちなみに、写真下右目に映っている区画は、

利用者さんを募集するために私がしばらくの間耕作していた“モデルルーム区画”です。

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対象地の真正面からの写影。

ここまでくるのに1年2ヵ月もの期間を要してしまいました。

おそらく、業者さんに作業委託していれば

オープンまでに半年もかからなかったことでしょう。

 

しかし反面、得られたものはたくさんありました。

直接経費を削減できたおかげで、当初計画通りの利用料金を実現できたこと。

それと、何といっても周辺ご近所のご理解をいただけたことでした。

耕作放棄地に一人っきりで這いつくばっている姿をみてくださり、

哀れに思ってくださったのでしょうか。

“しんどいやろうけど、がんばれよ!”

“貸し農園するの?きれいになってうれしいわ”

日を追うごとに、そんなありがたい言葉をかけてくださるご近所の方が増えてきたのが、

昨日のように思い起こされます。

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対象地奥部の状況です。

すっかり向こう側の道路まで見渡せるようになりました。

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実際にオープンした今現在、

草部貸農園では20歳代のご夫婦から70歳代の方まで、

いろんな世代が融合して気持ちのいいゆったりとした時間が流れています。

ジャガイモ掘りをお孫さんと一緒に楽しんでおられる方、

朝から晩までもくもくと励んでおられる方、

見ていてほほえましい光景です。

また、ご近所の中には利用者さんに栽培上のアドバイスをくださる方、

大量の苗を無料で提供して下さる農家の方などもおられ、

ご近所の皆様とも良好な関係が継続中です。

 

“地域に溶け込んだ貸し農園”

 

開墾作業中もずっと思い描いていた理想の貸し農園像ですが、

徐々に近づきつつあるのかなと実感しています。

これからも、草部貸農園が決して地域から浮いた存在になることなく、

利用者さんをはじめご近所の方にとっても“憩いの場”、

そんな農園に成長してくれたらと心から願っています。

 

(農園開設奮闘記「草部貸農園」編 了)